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2024 謹賀新年 Peace Peace Peace!!
初春のお慶びを申し上げます。
新年が、お一人おひとりにとって、輝かしく実り多い年となりますようお祈りいたします。そして、何より、世界を震撼(しんかん)させ続けている戦争・紛争、気候変動による被害・影響などが、少しでも良い方向に向かいますように。
私は、除夜の鐘とともに、古いもの(煩悩)をはらい、心穏やかに新年を迎えるという昔ながらの年末年始の雰囲気が好きです。自分の力の及ぶ範囲や心の持ちようで変えられることには、これが効きます。ところが、昨今は、上に書いた憂いのように、世界規模の連帯でなければできないことが多いですね。
ムーブが取り組む男女共同参画(ジェンダー平等)推進もそのひとつです。
国連が定める「女子差別撤廃条約」の加盟国である日本が、その枠組みの中で、他国と比較してどういう水準にあるか見ていくことは、人権問題として、とても大切です。同じく国連が推進するSDGsの中で、「目標5:ジェンダー平等を達成しよう」は、SDGs17項目すべての達成に関わる重要な課題であるにもかかわらず、日本は、昨年の「ジェンダーギャップ指数世界125位」に見られるように、低迷しています。
皆さまは、この状況を、どうお考えになりますか。
さて、年明けに、ムーブで開催される事業をご紹介しましょう。
1月20日(土)13:30~16:30、第34回アジア女性会議-北九州「危機の時代を生きる」。2部構成で実施します。第1部は、セミナー「環境へのアプローチ」(13:30~15:15、5階大セミナールーム)で、講演会とユーストーク・セッション。第2部は「ウクライナへの祈り」のコンサート(15:50~16:30、2階ホール)、歌とバンドゥーラ演奏と語り。お申込みは、1部、2部別々にしていただく必要があります。
詳しい内容とお申し込みは、こちらから。
続いて、翌日1月21日(日)14:00~15:30、5階小セミナールームで、横浜市にあるニュースパーク(日本新聞博物館)館長による講演会「多様性とメディア、ジェンダーを中心に」。
詳しい内容とお申し込みは、こちらから。
また、上記2つのイベント開催を含めた1月17日(水)~1月28日(日)の間、1階交流広場で、企画パネル展「多様性 メディアが変えたもの メディアを変えたもの」を実施します。多くの方に見ていただきたい過去からの新聞記事のパネル展です。
詳しい内容は、こちらから。
1月28日(日)13:30~15:00、5階小セミナールームにおいて、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ*注)講座「男の子の『性』~泌尿器科医から見た思春期の心と体」。思春期男子の心と体の変化を解説します。
詳しい内容とお申し込みは、こちらから。
1月30日(火)12:10~12:40、オンライン配信による「ランチタイムトーク」。インドで国際協力に取り組む、「児童労働ネットワーク(ACE、エース)」の杉山綾香さんに、児童労働ゼロに向けたACEの取り組みを紹介していただきます。
詳しい内容とお申し込みは、こちらから。
今年も、ムーブでは、ジェンダー平等(男女共同参画)と女性活躍(エンパワーメント)を進める施設としての使命を果たすべく、スタッフ一丸となって励んでまいります。
皆さまのご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。
それでは、次回また、どうぞ、お健やかにお過ごしください。
*注)リプロダクティブ・ヘルス/ライツとは
リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)とは、1994年の国際人口開発会議の「行動計画」及び1995年の第4回世界女性会議の「北京宣言及び行動綱領」において、「人間の生殖システム、その機能と(活動)過程の全ての側面において、単に疾病、障害がないというばかりでなく、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態にあることを指す」とされている。
また、リプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)は、「全てのカップルと個人が自分たちの子どもの数、出産間隔、並びに出産する時を責任をもって自由に決定でき、そのための情報と手段を得ることができるという基本的権利、並びに最高水準の性に関する健康及びリプロダクティブ・ヘルスを得る権利」とされている。
(出典:内閣府「第5次男女共同参画基本計画 用語解説」)
ムーブ所長 小石 佐織
1年を振り返って
もう12月。「また来た。もう来た。お年玉用意したのはついこの間だったのに~」と思われている方も多いのではないでしょうか(笑)
先日、若手新進気鋭の指揮者クラウス・マケラ率いるオスロ管弦楽団とピアニスト辻井伸行コンサートに行く機会がありました。ご存じのとおり、辻井伸行さんは視覚障害をものともしない卓越した演奏家で、ライブ・コンサートで聴くと、私はいつも感動で人目も構わず“うるうる”。彼自身と演奏の素晴らしさはもとより、「人間ってすごい」という人類の可能性に対する賛美のような感動です。
その人類が、一方では、ウクライナでもパレスチナでもその他の地でも戦争をする。時間は皆に平等にあるから、どこにも年の瀬は来るけれど、なんたる違い。紛争地に暮らす人たちのことを思うと、心が痛み、無力感を拭えません。
さて、ムーブ&アジア女性交流・研究フォーラム(KFAW)では、今年も、忙しい1年を過ごしました。
まず、年が明けるとすぐ、ムーブフェスタ2023の実行委員会が動き始めました。7月の開催に向けて、委員の皆さまが着々と準備を進めてくださったおかげで、男女共同参画(ジェンダー平等)に取り組むムーブらしい充実したフェスタとなりました。市民企画事業を実施してくださった方々、協賛してくださった方々(企業、団体、個人など)、裏方で事業を支えてくださったムーブ・サポーターの皆さまにも、感謝、感謝です。
年間を通じてさまざまな男女共同参画推進のための講座やイベントを開催していますが、1月から3月まで毎月1回、「ランチタイム・トーク」という、オンラインでお昼休みに見ていただける海外情報の発信イベントを、初めての試みで実施しました。
予告編:年明けにまた開催する予定です。お楽しみに~
5月から6月にかけては、ブータン王国から2回に分けて、女性や子どもの保護を担当する行政官・NGO職員32名が来訪し、北九州市で研修を受けました。その後7月には、アジア、アフリカ、オセアニアなどから9人の行政官が来られて、ジェンダー主流化(*注)のための研修を受けました。ムーブフェスタにも参加していただき、北九州市民との交流会も楽しみました。
5月に開催した能條桃子さんの「わたしが始める!わたしサイズの政治参画」は、目からうろこ。Z世代の人たちは、こんな風に世の中をみているのか・・ 政治分野に関心をもつことは大切で、10月に2回シリーズで開催した「『政治参画』ってなんだろう?」も、自分たちの生活と政治がどうつながっているのか考える良い機会になりました。
同じく10月の「おとこのライフセミナー」では、男性学を専門とする大学の先生から「男は仕事、女は家庭」から「女も男も、仕事も家庭も」へ変わっていく社会と生き方の話を伺って、内閣府が男女共同参画白書で言っていた「昭和モデル」から「令和モデル」へという提言が、すっと頭に納まりました。
と、主だった事業いくつかを振り返ってみましたが、こうしたムーブやKFAWの講座・イベント情報などを見逃さないように、メルマガに登録してみませんか。
ムーブ⇒ https://www.kitakyu-move.jp/movemailapp
フォーラム⇒ https://www.kfaw.or.jp/
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12月も、まだまだ忙しい。次のイベントが1年のフィナーレを飾ります。
2日(土)は、満員御礼のムーブ映画祭、3日(日)は、国連ウィメン日本協会北九州主催の講演会、8日(金)は、こどもと保護者のためのおはなし会。
そして、9日(土)は、国際理解セミナー「世界をつなげるフィリピンの女性たち~ナース、家事・介護労働者からコールセンターまで~」。セミナーはオンラインのみの開催で、12月6日(水)までお申し込み可能です。ご関心のある方は、ぜひ、こちらからどうぞ。
それでは、慌ただしい年の瀬、どうぞ、笑顔でお過ごしください。
Peace, Peace, Peace!! 良いお年を~!
*注)「ジェンダー主流化」とは、
各国政府が行うあらゆる取り組みにおいて常にジェンダー平等とジェンダーの視点を確保し、施策に反映していくこと。
ムーブ所長 小石 佐織
「北九州国際映画祭」の前は「ムーブ映画祭」!
すっかり涼しくなりました(“寒い”とめったに感じない、暑さの方が苦手な私)。ピンと張った空気、紅葉も楽しみだし、好きな季節の到来です。さあ、何しよう?遊びもいっぱい、仕事もいっぱい。え、順番が逆?(笑)
ムーブの事業も、盛りだくさんです。
今回は、まず、12月のムーブ映画祭からご案内しましょう。これは、毎年、男女共同参画啓発講座の一環として開催しているもので、今年は邦画『夕陽のあと』を上映します。「産みの親」と「育ての親」、2人の女性と1人の子をめぐる人間ドラマです。
上映前に、樋口智巳さん(小倉昭和館館主)と、中島俊介さん(西南女学院大学教授、シネクラブサポート会会長)のトークイベントもあります。
子育て中の方は、託児を利用して、映画を楽しんでいただけますよ。
詳しい内容とお申し込みは、こちらからどうぞ。
また、ムーブでは、来年7月に開催する「ムーブフェスタ2024」の実行委員を募集しています。一緒にフェスタをつくっていきませんか。詳しくは、こちらからどうぞ。
お子さまには、12月8日(金)10:30~11:10の「おはなし会」はいかがでしょう。3歳以下の子どもと保護者を対象に、絵本の読み聞かせや紙芝居を行います。詳しい内容とお申し込みは、こちらからどうぞ。
さて、11月は、内閣府の「女性に対する暴力をなくす運動」に合わせて、「女性への暴力ゼロ運動」を実施します。女性の人権を著しく侵害する暴力は、決してあってはならないことです。国際的にも、11月25日は「女性に対する暴力撤廃国際日」と定められています。
11月12日(日)から25日(土)まで、ムーブの建物の一部でパープル・ライトアップ(紫色は、この運動のシンボルカラー)を行います。また、11月中、DVについてわかりやすく説明するパネルを正面玄関のところに展示するので、見てくださいね。
関連の特別イベントをご紹介します。
★ 女性の権利ホットライン(女性への暴力ゼロ!ホットライン):11月15日(水)10:00~16:00
電話で、弁護士が相談を受けます(無料)。
お気軽にご利用ください。また、周りに悩んでいる方がいれば、相談するように背中を押してあげてください。
★女性への暴力ゼロ運動 特別講座「DV加害者は変われるか」(オンライン)
11月10日(金)のこの行事は、すでに先月ご案内しましたが、オンライン参加は11月8日(水)まで受け付けています。詳しい内容とお申し込みは、こちらからどうぞ。
アジア女性交流・研究フォーラムでは、12月9日(土)14:00~16:00、国際理解セミナー「世界をつなげるフィリピンの女性たち ~ナース、家事・介護労働者からコールセンターまで~」を、オンライン講演会として開催します。
講師の小ケ谷千穂さん(フェリス女学院大学教授)は、出張先のフィリピンからライブ登壇。お楽しみに~!
詳しい内容とお申し込みは、こちらから。
フォーラムが事務局を務める「国連ウィメン日本協会北九州」が、12月3日(日)14:00~15:30、講演会「アフリカと夫と私」を開催します。講師は、スーダンを中心に支援活動を続ける、認定NPO法人ロシナンテスの教育担当 川原佳代さんです。会場(ムーブ5階大セミナールーム)または、オンライン参加を受け付けています。詳しい内容とお申し込みは、こちらから。
それでは、次回また。 どうぞ、お健やかにお過ごしください。
ムーブ所長 小石 佐織
秋の深まりを楽しみに
皆さま、男性学というのをご存知ですか?
「男性が男性だから抱えてしまう問題」を扱う学問と定義されるそうです。例えば、働きすぎ、自殺、結婚難…など。
さまざまな価値観の変化に直面する今、ムーブでは、「おとこのライフセミナー」(男性だけでなくどなたでも参加OK)として、大妻女子大学人間関係学部准教授で男性学を専門とする、田中俊之さん講演会「男が働かない、いいじゃないか!」を10月21日(土)に開催します。「女と男」は人類誕生から普遍のテーマです。「人生100年時代」を「ともに」謳歌(おうか)することを一緒に考えてみませんか。
詳しい内容とお申込みは、こちらから。
シェイクスピア戯「ジョン王」は、やることなすこと裏目に出て政治的に窮地に陥る王の悲劇です。イギリスであった舞台の録画を観ていたら、俳優の一人がインタビューで、「もし投票に行かないことを選ぶ人がいたら、それは、適切じゃない人に投票するのと同じくらいまずいことではないか。そもそも投票する労もとっていないのに、後で起こったことに不平を言えるのか。何にも関わらず手をクリーンにしていることは、ナイフを持った人と同じくらい悪いことではないか。観客がこういう問いを抱きながら帰ってくれたらいいなと思いながら演じている」と。心に響きました。
ジェンダー・ギャップ指数においても、日本は政治分野の男女格差が大きな課題となっています。10月7日(土)と14日(土)の「『政治参画』ってなんだろう?」で一緒に考えてみませんか。どなたでも参加できます。
詳しい内容とお申込みは、こちらから。
11月4日(土)から3回講座、男性のための介護講座「介護男子 いざとなったらどうする?」を開催します。介護は長寿社会とセット。介護を経て亡くなった父の経験からも、誰もが備えておかないといけないことだと思います。男性の皆さま、介護を学び、同時に、仲間もつくりませんか。
詳しい内容とお申込みは、こちらから。
11月10日(金)に、11月の「女性に対する暴力をなくす運動」の一環として、オンラインセミナー「DV加害者は変われるか」をムーブとアジア女性交流・研究フォーラム(KFAW)の共催で開催します。
妻の避難をきっかけに自身の加害に気づき、DVに悩む人たちを支援する団体を立ち上げた講師。「なぜ変われたのか」をご夫婦の体験を交えてお話をしていただきます。
詳しい内容とお申込みは、こちらから。
さて、男女共同参画(ジェンダー平等)に関する情報誌『ムービング101号』を発行しました。こちらから、どうぞご覧ください。
また、KFAWのジェンダー平等やアジア情報を紹介するウェブニューズレター『Asian Breeze』は、こちらからどうぞ。
秋は読書。数年前に、「初期」~「前期」高齢者時代は、若くて忙しい時には手を出せなかった古典や長編小説にトライしようと決めました。最近読んだのは、ホメロスの『イリアス』。古代のトロイアの王子がギリシャ(連立国家)のある王の妻を略奪したことに端を発するトロイア戦争をうたった叙事詩の小説仕立て。長い戦争話の一部で、有名な「トロイの木馬」が出てくる前の話ですが、オペラにもシェイクスピア劇にも、これを題材としたものがあるので、いろいろつながってイメージが膨らみ、古代のロマンを楽しんだ気になりました。
それでは、次回また。 どうぞ、お健やかにお過ごしください。
ムーブ所長 小石 佐織
「もはや昭和ではない」
「もはや戦後ではない」は、戦後の復興期の、急速な経済成長をとげている時に流行った言葉でした。内閣府の令和4年版男女共同参画白書に書かれた「もはや昭和ではない」も、現状の変わりようをきちんと認識できていない状況に対して、上手く言い得たキャッチフレーズだと思います。前者の場合、「もはや」の後は明るい状況なのに対し、後者の「もはや」の後は、課題山積という違いはありますが。
時代の転換期には、古い価値観に疑問が投げかけられ、人々は新しい生き方を模索する。社会の多くのシステムのベースとなる人間や家族像も違ったものになる。私もかなり長く生きてきたので、過去と対比してこういうことを実感できる年齢になったなあとしみじみ(笑)
昭和の価値観の中で育ち、平成時代前半に子育てをしたワーキング・マザーの私は、男女不平等の経験をそれなりにシェアしていたので、息子たちを「新しい時代を生きるオトコ」として家事もできるように育てたいと思っていました。ところが、自らの手抜きと、子どもの面倒を見てもらっていた私の母の「あー、お祖母ちゃんがやってあげる」に、彼女の機嫌を損じることを恐れて抵抗できず、結局、家事能力のない息子たちを再生産してしまったのでした。「後悔、先に立たず」、とほほ・・
アンコンシャス・バイアス含め、令和5年版男女共同白書がいう「昭和モデル」から「令和モデル」に移行する中で、こういう問題がゴロゴロある(笑)のは間違いないでしょう。
私自身、内にもっているさまざまな矛盾に、学び実践していくことで対処していきたいと、改めて思います。手始めに、遅まきながら、お盆に帰省した息子たちに包丁を持たせ、料理レッスンをやりました。
さて、今回は、男性の生き方に関する講座などの紹介です。
ムーブでは、「男性学」を研究分野とする、大妻女子大学人間関係学部准教授の田中俊之さん講演会「男が働かない、いいじゃないか!」を、10月21日(土)13:30~15:00、2階ホールで開催します。
なかなか挑発的な演題ですね。どんなお話になるんでしょう。楽しみです。もちろん、男性だけでなく、どなたでも参加できます!
詳しい内容とお申込みは、こちらから。
男性の育児スキル・知識の習得のために、9月30日(土)13:30~15:30、4階工芸室・料理室で「おとこの魅力アップシリーズ 育児男子」を開催します。
詳しい内容とお申込みは、こちらから。
ムーブでは、悩みや不安を誰かに聞いてもらいたい男性のための電話相談も実施しています。
詳しくは、こちらから。
また、女性のエンパワーメント事業の一つとして、10月7日(土)と14日(土)の2回連続で、ともに時間は13:30~16:00、5階大セミナールームにおいて、「女性の政治参画」をテーマとした講座を開催します。海外の事例(映画での紹介含む)や福岡県内での取り組みから、女性の政治参画を考えます。
ジェンダー・ギャップ指数においても、政治分野は、日本が大変遅れていると指摘されるところです。性別問わず関心のある方はどなたでも、どうぞ奮ってご参加ください。
詳しい内容とお申込みは、こちらから。
それでは、次回また。どうぞ、お健やかにお過ごしください。
ムーブ所長 小石 佐織
たまには、内省的に・・・
私が好きなオペラの題材にはシェイクスピア劇からとったものも多く、ここ一年ちょっと、今度は、ロンドンにあるシェイクスピア・グローブ座や彼の出生地ストラトフォード・アポン・エイヴォンで上演されるロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(なんと、理事長は前プリンス・オブ・ウェールズ、つまり・・チャールズ国王!)の公演を観ています。
これが結構厄介。録画は英語字幕のみ。それもエリザベス朝時代(日本は室町時代末期から戦国時代)の英語なので、字幕を読んでもちんぷんかんぷん。仕方がないので、「戯曲の日本語訳本を読んで、台詞や場の流れを頭に入れてから、録画を観る」ことになるんです。シェイクスピアの戯曲は37あり、残すは1つのみ。我ながら、面倒くさいことやってきた~(笑)
どうしてこんな話をしているかというと、16~17世紀のシェイクスピア劇は、今を生きる人たちが自分の人生と関連づけて観られるようにするためか、現代置き換えバージョンで演じられることが多く、その中で、最近は、元々の男性役を女性が演じる置き換えも多くなされていることを、お伝えしたいと思ったからです。
女性が男性のように演じるのではありません。女性であろうと男性であろうと、その役の劇における要素を演じるというか、うまく言い表せませんが、オリジナル役名の性別にこだわらず、その役柄をストーリーの中でうまく表現できる俳優がやっている、といった感じです。これも、ジェンダー配慮の一つの試みだろうと思います。
また、多様性を反映して、王侯貴族を扱う劇には、必ず白人でない俳優も起用するルールがあるとか。なので、本来なら女性登場が少ない劇でも、舞台上女性も多く、多様な文化的背景の役者が混在しています。
もちろん、こうしたことにはさまざまな視点から、賛否両論あるでしょう。私も、女性が演じるハムレットには、正直なところ違和感をもちました。ただ、私はこれを見て、諸外国、特に先進国は、ジェンダー意識がこういうところまで来ていることに気づきました。
総合芸術監督に女性が増えたことも一因かもしれません。昔、中国が市場経済に移行する時、「中間所得層が一定のボリュームに達すると、もう後戻りはできない」議論があったのを思い出します。
6月末に発表された今年のジェンダー・ギャップ指数で、日本はまた順位を落としました。内閣府が公表した男女共同参画白書では、目指すべき社会像を「令和モデル」とし、「昭和モデル」からの脱却を明確に提唱しています。日本も「徐々に」変わってはいるんです。が、世界的なペースに追いつかない。
覚悟して進める必要があります。ジェンダー・ギャップ指数「先進国最下位」に甘んじることに神経がまひしないように。
さて、ムーブでは、男女共同参画(ジェンダー平等)に関する調査・研究を自主的にしてくださる市民グループや研究者を募集しています。応募締め切りは8月15日(火)です。関心のありそうな方に広めていただけると嬉しいです。
詳しい内容とお申込みは、こちらからどうぞ。
アジア女性交流・研究フォーラムでは、8月10日(木)13:30~16:00、北九州市立大学北方キャンパスで、高校生にジェンダーについて考えてもらうイベント「大学の講義にドキドキ!大学生と語る今どきのジェンダー!」を開催します。申込締め切りは8月4日(金)です。高校生の皆さん、奮ってご参加ください。
詳しい内容とお申込みは、こちらから。
また、9月2日(土)14:00~16:00、ムーブ5階大セミナールーム、故中村哲医師と活動を共にしてきたペシャワール会・PMSの藤田千代子さんによるNGOセミナー「アフガニスタンの大地より」を開催します。中村医師の不屈の思いをDNAに刻むNGOの活動について学んでみませんか。
詳しい内容とお申込みは、こちらから。
では次回また。どうぞ、お健やかにお過ごしください。
ムーブ所長 小石 佐織
暑中お見舞い申し上げます!
夏の盛り、暑さも本番、ムーブフェスタ(7月1日~7月22日)も本番です。
いよいよ明日、オープニングの平野啓一郎さんの講演会でにぎにぎしく開幕します。イベント準備をしながら、注意は怠らないものの、コロナ禍前の生活に少しずつ戻ってきたことをうれしく感じています。
ムーブの主催事業だけでなく、このフェスタに向けて、市民やNPOなどが企画工夫した事業の数々は、男女共同参画について知る、楽しく学ぶ、文化に親しむ、味わう、同じ関心の仲間を見つける、お買い物するなどたくさんの楽しみ方がありますので、こちらのリーフレットを確認して、お見逃しなく!
さて、ムーブでは、情報誌『ムービング』100号を発行しました。1995年の開所以来、ムーブの事業や男女共同参画の知見・取り組みを紹介してきた冊子も、記念すべき100号を迎え、感無量です。
巻頭には、3月に行った、着任間もない武内市長と各界で男女共同参画に取り組む方々の特別座談会を掲載しています。ムーブで配布している冊子を手に取っていただくのもよし、ウェブサイトのこちらから見ていただくのもよし。
また9月末まで、1階図書・情報室入った所で、ムービングの第1号から100号までの展示もしています。温故知新、懐かしい記事に出会えます。
そして、交流広場に、ムーブで記念撮影ができるフォトブース(7月末までの期間限定!)も出現しています。
ぜひ立ち寄って、ムービングを手に取ってご覧になり、その後は、写真撮影をお楽しみください。
8月4日(金)10:30~11:00には、図書・情報室にて、親子向けに絵本を読み聞かせるおはなし会を開催します。
詳しい内容とお申込みは、こちらから。
昨年度、3か月試行実施した「ムーブLINE相談」を、今年度も7月から来年3月まで実施します。周囲に、自分の困難な状況について相談することをためらっている方がおられたら、ムーブのさまざまな相談事業とともに、LINE相談があることも教えてあげてください。
詳しくは、こちらから。
アジア女性交流・研究フォーラムでは、5月から6月にかけて、ブータンから、女性と子どもの保護とケアに携わる公務員やNGO職員32人が2グループに分かれて連続で来訪し、ここで2週間ずつ研修を受けました。
ブータンでは、県ごとに、女性と子どもの保護とケアを担当するフォーカル・ポイント(拠点)ができたけれど、体制はまだまだとのこと。理論はもちろん、実際に、本市で、女性と子どもの保護・ケアを担当する窓口や施設を訪問し、スタッフたちと意見交換したことが大変貴重な経験になったと、研修成果の発表会で皆が口にしていました。
せっかくなので、研修風景のいくつかを紹介します。
ではまた次回、蒸し暑い夏を、どうぞ、お健やかに乗り切ってください。
ムーブ所長 小石 佐織
7月はムーブフェスタ2023!
3週間のムーブフェスタ2023(7月1日(土)~22日(土))も、いよいよカウントダウンの段階になってきました。
1995年のムーブ開所以来、男女共同参画の推進について意識を高めていただくために、毎年開催している開所記念事業です。
ジェンダー平等も女性活躍推進も、社会全体のあり方が変わらなければ実現できないという意味で、対象=女性ではありません。対象=ALLです。人生100年時代の恩恵を十分活かすためにも、ますます重要性を増すだろうと考えています。
フェスタのオープニングは、7月1日(土)13:30~15:00、本市出身の小説家 平野啓一郎さんの講演会。「個人」より小さな「分人」という単位を使って、アイデンティティやコミュニケーションについて新しい見方を披露してくださいます。予測不可能な社会をどう生きるか、平野さんと一緒に考えてみませんか。
詳しい内容とお申込みは、こちらから。
フェスタの中盤、7月14日(金)19:00~20:30は、ジェンダー問題 調査・研究報告会「女性管理職のキャリア形成-一皮むけた経験を探る-」。公募で選ばれた研究者による、市内企業女性管理職へのインタビューから見えてきた、キャリア形成に関する課題や提言。キャリアを考える女性に参考にしていただくことはもちろん、女性活躍を進めたい企業の経営者・人事担当者にも、示唆に富むお話になりそうです。奮ってご参加ください。
詳しい内容とお申込みは、こちらから。
同じく中盤、7月15日(土)13:00~17:40は、2部構成で、異文化体験・国際交流をキーワードとするイベントを開催。第1部は、ジェンダー研修のため北九州市に来られるアジアやアフリカなどからの行政官と交流するジェンダーカフェ。
詳しい内容とお申込みは、こちらから。*1部と2部は、別々にお申込みが必要です。
第2部は、糸島市を拠点に国内外で活躍するエンターテイメント集団「劇団AFRICA」によるパフォーマンス。北九州市の女性保育士で結成する太鼓グループ「和太鼓もも」がオープニングを飾ります。
詳しい内容とお申込みは、こちらから。
そして、フィナーレを飾るのは、7月22日(土)10:30~15:40、さまざまなステージが繰り広げられる「サマーカーニバル」。
休憩時間には、昨年も好評だった「行列のできる!?法律相談Q&A」。クイズ形式で、弁護士らが、法律面から、身近なトラブル解決の糸口を解説します。
「サマーカーニバル」も「法律相談Q&A」も事前申込みは不要です。
・・・と勢いで書いてきて、その前に、フェスタの序奏ともいえる行事があるのをお知らせし忘れていました。
6月23日(金)~29日(木)は、内閣府が定める「男女共同参画週間」です。テーマは「無くそう思い込み、守ろう個性 みんなでつくる、みんなの未来」。ムーブでは、この期間、入り口のロビー付近に、ジェンダー平等に関するパネルを展示します。立ち寄って見ていただけると嬉しいです。
6月24日(土)13:30~16:30は、「女性のための離婚に関する法律基礎講座」。
お申込みは、こちらからどうぞ。
また、6月28日(水)10:00~16:00、女性に対する人権侵害に関するさまざまな相談に弁護士が電話で応じるホットラインを開設します。どうぞ、こちらをご覧ください。
男女共同参画週間で序奏・助走しながら、ムーブフェスタへと突入してまいります。フェスタは、たくさんの市民企画事業やフリーマーケットもあるので、リーフレットをご覧になって、何度でもムーブに足をお運びください。お待ちしています~
では、次回また。 どうぞ、お健やかにお過ごしください。
ムーブ所長 小石 佐織
ゴールデンウィーク!!
風薫る5月。毎年、この季節は、新緑の濃淡レイヤーに誘われて英彦山の友人を訪ね、そこで人の家の石垣にみごとに茂った濃いピンク色の芝桜を見ては、ホームセンターに寄って鉢植えを買い(庭を持たないため)、そして最後は、毎度、性懲りもなく、枯らしてしまう・・(笑)
私のゴールデンウィークの定番です。
さて、ムーブでは、7月の「ムーブフェスタ2023」に向けて、中心となる市民企画事業の内容も固まり、スタッフ一同張り切っているところです。応募してくださった皆さま、ありがとうございました。ぜひ、一緒にフェスタを盛り上げていきましょう!
ところで、「イコール・ペイ・デイ=Equal Pay Day(EPD)」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。
EPDは「女性が、男性の1年分と同じ賃金を手にする日」を意味し、男性が1年間働いて得られる賃金の総額と同額を得るのに、女性は1年を超えて翌年のいつまで働く必要があるか、その同額となる日を示したものです。働く女性の国際ネットワーク組織である国際BPW(Business and Professional Women)が行っている、男女の賃金格差を可視化するための取り組みです。
今年の日本のEPDは、今日(4月28日)だそうです。男性より4か月長く働かないと同じ額の賃金を手にできない。昨年は5月1日で、一昨年は5月6日だったので、少しずつではありますが、改善されてきています。とはいえ、日本のジェンダー・ギャップ指数は、先進国でも最低レベルの世界116位。政治・経済分野の格差解消が大きな課題となっているので、このEPDも、わかりやすい指標だと思います。
ジェンダー・ギャップ指数の中身をみると、日本は教育の分野では格差がないのに、政治・経済分野で格差が大きいということは、教育のところで投資したことが、その後十分生かされていないということだと思いませんか。もったいない!今後も注視していきましょう。
政治分野と言えば、ムーブでは、5月20日(土)14:00~15:30に、「わたしが始める!わたしサイズの政治参画」と題して、NO YOUTH NO JAPAN 代表 能條桃子さんに登壇いただくイベントを開催します。
能條さんは、若い世代や女性の政治参加をもっと身近なものにするための活動を積極的に行っている活動家です。昨年、TIME誌の「次世代の100人」にも選ばれ、最近はマスコミ報道でも、その活躍をよく目にしますね。
政治への無関心は、昨今の投票率の低迷に照らしても、社会全体の課題です。若きも成熟層も女性も男性も、誘い合ってご参加ください。
詳しい内容とお申込みは、こちらからどうぞ。
アジア女性交流・研究フォーラムも夏にかけて、大変忙しい時期を迎えます。5月から6月にかけて、ブータンから、女性と子どもの保護とケアに携わる公務員32人が2グループに分かれて連続で来訪、ここ北九州市で研修を受けます。これは、JICA九州からの委託を受けて、フォーラムが企画し、市役所など関係部署の協力を得て実施するものです。
コロナ禍が落ち着きを見せ始めたからこそ、実現できる対面プロジェクト。実り多い研修となるように、講師や視察などで協力してくださる方々には、心から感謝申し上げます。
そして、ブータンの次は、同様に、開発途上国のジェンダー平等を進める行政担当官などが来訪し、6月末から7月末まで約1か月間のジェンダー研修。
女性や子どもの課題は、国により程度の差はあれ共通する部分も多く、参加国の重要なポストを担う研修生たちとの情報交換も楽しみです。
5月30日(火)14:00~15:30には、3月にニューヨークで開催された「第67回国連女性の地位委員会」の内容をわかりやすく説明するセミナーを開催します。ジェンダー平等を進めるために、国際社会との連携は不可欠です。このセミナーで国際基準の最新情報をぜひ仕入れてください。
詳しい内容とお申込みは、こちらからどうぞ。
それでは、楽しい飛び石連休を!
どうぞ、お健やかにお過ごしください。
ムーブ所長 小石 佐織
春だ、身体を動かそう!
令和5年度のスタート。毎年4月1日には、人事異動などもあって、「今日は昨日の続きだけれど、年度が変わって何か違うものになったような新たな気分になる」から、不思議です。入学や引っ越しなどで新しい生活を始める皆さま、新生活でのご健闘をお祈りいたします。
ムーブでは、今年度も、女性のエンパワーメントのための講座、(再)就職のためのパソコンや介護、医療事務の講座、健康支援、男性の生活スキルを高める講座など、盛りだくさんに用意しております。
ウェブサイトがスマホ対応にもなったので、時々チェックして、奮ってご参加ください。
暖かさとともに身軽な服装になってきて、身体を動かしたい!と思いませんか。
ムーブには、フィットネスルームもあります(有料)。インストラクターが常駐しているので、相談しながら、トレーニング・マシーンを使ったり、ストレッチしたりができます。大型ミラーがあるので、ヨガやダンスの練習にも使えます。ただし、利用できる日と時間帯は、事前に必ずチェックしてくださいね。
利用方法など、詳しくは、こちらからどうぞ。
さて、ムーブでは、男性の育休取得を応援するため啓発冊子『産休・育休取得者だけの問題じゃない!パパの子育て応援NAVI』を発行しました。ジェンダー平等の推進にあたっては、先進国の中でも、家事に費やす時間が短い日本男性の家事参画も、重要な課題。
冊子は、希望された北九州イクボス同盟の加盟企業などには配布していますが、ムーブでも配布しています。また、ウェブサイトからもご覧いただけますので、こちらから、どうぞ。
アジア女性交流・研究フォーラム(KFAW)では、4月22日(土)14:00-16:00、KFAWアジアジェンダー研究者ネットワークセミナー「ヘジャーブをめぐるポリティックス-ヴェールは何を表象しているのか」を開催します。講師は、鹿児島大学グローバルセンター特任准教授の森田豊子さん。
ヘジャーブは、カタールであった2022サッカーW杯をめぐっても大きな話題になりました。中東イスラーム地域、特にイラン地域を研究されている講師が、実体験を交えてお話してくださるので、とても楽しみにしているところです。
会場での参加、またはオンラインでの視聴(Zoom)ができます。
詳細とお申込みは、こちらから。
KFAWのオンライン情報誌”Asian Breeze”の第95号も発行されました。今回は、インドネシアとインドでそれぞれ活動している日本のNPOからの報告。ジェンダー問題に起因して、若者や子どもたちが直面する課題とその対策に関する報告です。
閲覧は、こちらからどうぞ。
身体を動かすと言えば、私も一時期、週末ごとにフィットネス・ジムに通ったことがあります。なので、運動オンチでも、汗をかいた後の爽快感は知っています。最近また、“人生100年時代”において、今の自分の最優先事項は適度な運動じゃないかと思い始めました。
ジム通いをしていたある日、エアロビクス運動が終わってスタジオから出てみると、周りが騒然としています。「大きな地震だよ」。2005年3月20日の福岡県西方沖地震でした。エアロビクスで“揺れていた私”は、地震の揺れに気づいていなくて、あぜん。その数日後、仕事で、福岡市中央区のある事務所を訪ねた時に、大名近辺の道路の被害を見て、さらにあぜん。
・・・災害への備えの大切さを、思い出しました。
それでは、次回また。 どうぞ、お健やかにお過ごしください。
ムーブ所長 小石 佐織