たまには、内省的に・・・

投稿者:所長 2023年07月28日

 私が好きなオペラの題材にはシェイクスピア劇からとったものも多く、ここ一年ちょっと、今度は、ロンドンにあるシェイクスピア・グローブ座や彼の出生地ストラトフォード・アポン・エイヴォンで上演されるロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(なんと、理事長は前プリンス・オブ・ウェールズ、つまり・・チャールズ国王!)の公演を観ています。

 

 これが結構厄介。録画は英語字幕のみ。それもエリザベス朝時代(日本は室町時代末期から戦国時代)の英語なので、字幕を読んでもちんぷんかんぷん。仕方がないので、「戯曲の日本語訳本を読んで、台詞や場の流れを頭に入れてから、録画を観る」ことになるんです。シェイクスピアの戯曲は37あり、残すは1つのみ。我ながら、面倒くさいことやってきた~(笑)

 

 どうしてこんな話をしているかというと、16~17世紀のシェイクスピア劇は、今を生きる人たちが自分の人生と関連づけて観られるようにするためか、現代置き換えバージョンで演じられることが多く、その中で、最近は、元々の男性役を女性が演じる置き換えも多くなされていることを、お伝えしたいと思ったからです。

 女性が男性のように演じるのではありません。女性であろうと男性であろうと、その役の劇における要素を演じるというか、うまく言い表せませんが、オリジナル役名の性別にこだわらず、その役柄をストーリーの中でうまく表現できる俳優がやっている、といった感じです。これも、ジェンダー配慮の一つの試みだろうと思います。

 また、多様性を反映して、王侯貴族を扱う劇には、必ず白人でない俳優も起用するルールがあるとか。なので、本来なら女性登場が少ない劇でも、舞台上女性も多く、多様な文化的背景の役者が混在しています。

 

 もちろん、こうしたことにはさまざまな視点から、賛否両論あるでしょう。私も、女性が演じるハムレットには、正直なところ違和感をもちました。ただ、私はこれを見て、諸外国、特に先進国は、ジェンダー意識がこういうところまで来ていることに気づきました。

 総合芸術監督に女性が増えたことも一因かもしれません。昔、中国が市場経済に移行する時、「中間所得層が一定のボリュームに達すると、もう後戻りはできない」議論があったのを思い出します。

 

 6月末に発表された今年のジェンダー・ギャップ指数で、日本はまた順位を落としました。内閣府が公表した男女共同参画白書では、目指すべき社会像を「令和モデル」とし、「昭和モデル」からの脱却を明確に提唱しています。日本も「徐々に」変わってはいるんです。が、世界的なペースに追いつかない。

 覚悟して進める必要があります。ジェンダー・ギャップ指数「先進国最下位」に甘んじることに神経がまひしないように。

 

 さて、ムーブでは、男女共同参画(ジェンダー平等)に関する調査・研究を自主的にしてくださる市民グループや研究者を募集しています。応募締め切りは8月15日(火)です。関心のありそうな方に広めていただけると嬉しいです。

 詳しい内容とお申込みは、こちらからどうぞ

 

 アジア女性交流・研究フォーラムでは、8月10日(木)13:30~16:00、北九州市立大学北方キャンパスで、高校生にジェンダーについて考えてもらうイベント「大学の講義にドキドキ!大学生と語る今どきのジェンダー!」を開催します。申込締め切りは8月4日(金)です。高校生の皆さん、奮ってご参加ください。

 詳しい内容とお申込みは、こちらから

 

 また、9月2日(土)14:00~16:00、ムーブ5階大セミナールーム、故中村哲医師と活動を共にしてきたペシャワール会・PMSの藤田千代子さんによるNGOセミナー「アフガニスタンの大地より」を開催します。中村医師の不屈の思いをDNAに刻むNGOの活動について学んでみませんか。

 詳しい内容とお申込みは、こちらから

 

 

 では次回また。どうぞ、お健やかにお過ごしください。

 

       ムーブ所長   小石 佐織