支援の輪が広がっていくことを期待したいと思います。
ムーブでは、毎年4月にジェンダーに関する様々なテーマで調査・研究を行う市民グループや研究者(グループ)を募集し、選ばれた一組にその費用の一部を助成して調査・研究の結果を報告していただいています。
昨年度採択された、北九女子一歩会は「北九州地域における“ひきこもり・生きづらさに悩む女性”に関する調査・研究」をテーマに、1年間調査・研究を行うとともにその結果を報告書にまとめ、10月31日(土)にムーブで報告会を開催しました。
“ひきこもり”が社会問題として取り上げられるようになってしばらく経ちますが、これまでは概ね男性の問題として捉えられていたような気がします。内閣府の調査でも、ひきこもり状態にあるとされる方々の約6~7割は男性という結果になっていますが、ひきこもりや生きづらさに悩んでいる女性は男性に比べて果たして本当に少ないのか、に疑問を持った北九女子一歩会の方々が、女性に焦点を当てて、ひきこもりの問題について様々な調査や当事者へのアンケートを行い、実態把握を行ったのが今回の調査・研究の内容です。
報告では、「家事従事」という役割で女性のひきこもりが少なく把握されていること、そこには性別による固定的役割分担意識の中で、女性は家事をしていると言えば特段問題があるとは思われないという実態があり、女性を対象とした支援プログラムも少ないという現状が報告されました。
その上で、ひきこもり・生きづらさに悩む女性やその家族のための居場所づくりや女性を対象とした支援プログラムの必要性などの提言がなされました。
また、この報告会にコメンテーターとしてご参加いただいた、ジャーナリストの池上正樹さん(ひきこもり関係の取材を20年以上にわたって続けられ、著書も多数。KHJ全国ひきこもり家族会連合会理事)からも貴重なコメントをいただきました。
今回参加された当事者の方やご家族の方々にとって、今後に希望を持てるような有意義な報告会となったことを願うとともに、これまであまり焦点が当てられていなかった方々に支援の輪が広がっていくことを期待したいと思います。
なお、(あくまでも現時点での予定ですが)NHK「あさイチ」(朝ドラの後、8:15から華丸・大吉さんが出演する全国番組)で11月25日(水)にひきこもりに関する特集があり、その中で今回の報告会の様子も放送されるそうです。