小倉織(こくらおり)と築城則子(ついきのりこ)さん

投稿者:所長 2014年06月01日

 

私の手元に、『築城則子 縞』がある。先日、築城さんに、お会いすることがscan-10

あって、いただいた冊子。気に入って、時々ページをめくっている。 

 「小倉こくら縞帯しまおび」、「ねりぬき着物きもの」、「つむぎおり着物きもの」それぞれに、

面影おもかげ」、「ゆう」、つきげん」・・・と名前がついている。帯や

着物の気品ある力強い存在感。どんな人が、どんな時に着るのか、

どんな風に着こなすことができるのか、想像は広がる。

 

 北九州市には素晴らしい多くの女性がいる。また、凄い人に

出会った。築城さんは、一度生産が途絶えた小倉織を見事に復元・再生し、小倉織に

新たな命を吹き込んだ。本格的に染織に進んで約40年。

現在に通用する築城則子さんの小倉織の世界を切り開いた。

 

 私が知っていたのは機械織の汎用品「縞縞 SHIMA―SHIMA」シリーズの

風呂敷、財布。この機械織だけでなく、本来の手織りもご自身の工房で制作している。

それが、この冊子の作品。さて、どんな風につくられるのか。織る前の糸を並べる作業

から始まり、3日徹夜は当たり前で、日が昇り、日が沈むまで工房に篭りっきり。色の

組み合わせは、自然や音楽からヒントを得るという。その様子を築城さんは次のように

語っている。

 

「デザインの前に瞑想の演奏会が始まる。流れる水を掬いあげるように、ゆっくり、

大切にイメージを抱けたら、コンダクターは任せるばかり。縞宇宙の内側で、曲想が

導く最終楽章まで自由で心浮きたつ時を過ごす。」と

 

 小倉織との出会いは、地元の骨董店で、なめし革のような質感のまるで絹のような

光沢を持つ不思議な布との出会いから始まった。築城さんは、その出会いを現在の

小倉織にまで完成させた。小倉織の世界をずっと追求して、極める。すごいなあと

思う。そんな女性が北九州市にいることを、是非ご紹介したいと思った。

 

 築城さんは、一度創った作品は、すぐに忘れると言われる。これは、前に創った作品

には、もうこだわらない。次に進んでいくということだと思う。

 さて、次にどんな作品が生まれるのか、楽しみにしたい。