助産師の嶋井元子さん

投稿者:所長 2014年12月02日

 

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 今回は、助産師の嶋井さんを、ご紹介します。嶋井さんは、先月22日、「第13回 福岡県男女共同参画表彰 女性の先駆的活動部門」で表彰されました。助産師という仕事を通じて、様々な活動をされています。これまでの地道な活動が評価されてほんとうによかったと思います。

 

 嶋井さんは、昭和60年に、助産師の国家資格を取得し、総合病院の産婦人科などで、多くの経験を積んだ後、平成17年にご自身の助産院を開業。助産師の仕事を通して「女性が自分らしく自立して生きて行くこと」をサポートする。それが自分の生き方だと、おっしゃっています。

 

 私と嶋井さんとのご縁は、北九州市役所の児童家庭課で、平成17年度に、妊産婦の訪問事業や不妊相談をスタートした時からです。その後、思春期の子どもたちの性教育のあり方を検討する「思春期保健連絡協議会」のメンバーにもなっていただきました。今では、この協議会で検討したプログラムで、嶋井さんの所属する助産師会の方々のご協力で、小中学校の児童生徒の思春期教育が行われています。この思春期教育の中では、「命の大切さの授業」が行われ、男子生徒と女子生徒が、お互いを理解し、尊重して、付き合うことは、どういうことかということを教えていただいています。

 

 いろいろな事業をご一緒させていただいてきましたが、嶋井さんには、「助産師という仕事に誇りをもち、女性が女性として自分らしく生きていくことをサポートする」という揺るぎない意思があります。

 

 嶋井さんについて驚いた、エピソードをもう一つご紹介します。平成22年、ロシナンテスの川原尚行さんから、「スーダンの母子保健の改善事業を手伝ってくれる人を探しているので、誰か、紹介してほしい」と、当時、子ども家庭局の私のところに相談がありました。母子保健の担当者に相談しますと、助産師会に相談するのがいいと、会長の嶋井さんに相談しました。なんと、「私が行きます」と即答。相談した私たちもびっくり。すごい女性がいると、大変、頼もしく思いました。

 

 スーダンでは、80%の妊婦が自宅で出産するという状況。村のお産のほとんどが、伝統的産婆や村落助産師によって行われ、母子手帳もなく、妊婦健診も受けずいきなり村落助産師が呼ばれてお産をする人もいるそうです。また、診療所でのお産のケースでも、2時間後には村に帰っていきます。性器切除という習慣もあり、女性にとって、お産は大変苦痛を伴うもので、出産の環境も衛生的なものとはいえない。5歳までに、1000人のうち100人が死亡というのが現実だそうです。

 

 その中で、嶋井さんは、診療所と村落助産師が連携することを提案し、今まで行われていなかった産後訪問を村落助産師とともに行い、診療所の存在を村人に知らせることから始めました。また、ロシナンテススタッフとともに母親学級に参加を促す工夫をされ、2回目に訪問したときには、随分、妊婦健診も浸透してきたということです。

 村落助産師の水準を上げることも目標でしたが、これも2年目の訪問の時には、かなり水準が上がっていたということ。2013年までに短期専門家として4回スーダンを訪れています。今年から、あらたなプロジェクトがはじまり、スーダンでの活動は継続しています。

 

 

 嶋井さんの活動は、北九州市の女性たちへのサポートから、スーダンの女性たちへ。さらに、NPOでの子育て・親支援と、幅広く活動されています。今後、どんな活動にチャレンジされるのか楽しみです。

 

 

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