ハノイ スタディツアーで思ったこと

投稿者:所長 2016年10月05日

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 (公財)アジア女性交流・研究フォーラムの事業で、9月6日(火)から10日(土)まで、ベトナムのハノイを訪問しました。フォーラムでは、アジアのジェンダー関係機関等と、一過性でなく恒常的なネットワークの構築を目指しています。その一環として、ハノイ女性連盟とも交流を続けていますが、今回、ハノイ女性連盟のご協力でこのツアーが実現しました。

 

 今回は特に、女性の視点からベトナムの人々の家族や生活を視察しようということで、ハノイの家庭を、3グループに分かれて訪問しました。

 

 私が訪問したのは、4世代9人家族のクックさんのお宅。最長老のおばあさま、その長男ご夫婦と長女の方が、笑顔で迎えてくださいました。ずっと昔からの知り合いだったかのように、暖かいおもてなしでした。

 

 6代80年続く家族で、壁には、「大家族を幸せにしましょう」、「子どもや孫たちを大切にしましょう」という意味だという家訓が掲示されていて、伝統的家族を守っているし、これからも守って行きたいと、おしゃっていました。他のグループの家族も4世代の家族で、どの家族も家族を大切にされている様子です。

 

 さて、ベトナムでは女性の労働力率が高く、訪問した家庭はどの家族も共働きでした。街中では、路上屋台や食堂、小売店でも多くの働く女性の姿を見かけました。

 

 これらの働く女性を支える制度として、保育園は18ヶ月から3歳児までが入園でき、2歳児から小学校入学までは幼稚園があり、もっと小さな幼児には、小規模保育施設があるそうです。

 なによりも、女性の就労を支えているのは、家族の支えのようです。リタイアした両親が家事や子育てを担ったり、「おしん」といわれるお手伝いさんのいる家庭もあって、現役世代の女性は働きやすくなっています。ハノイでは、それぞれ仕事を持って(持っていた)経済的に自立した個々の家族のメンバーが互いを支えあっているようです。

 

 日本ではどうでしょう。戦後の高度経済成長の中で、「安定的に雇用された男性と家庭責任を担う女性」とう性別役割分業のもとに、近代家族モデル(夫婦とその子どもからなる家族)が生まれました。しかし、現在では、この近代家族モデルが主流ではなく、夫婦二人の家族、単身家族、ひとり親家族も増え、家族形態も多様になってきています。

 これからは、どれか特定の家族形態を標準、望ましい家族像とするのではなく、個人一人ひとりが自立し、対応な関係を保障しつつ、互いを尊重する家族を模索していくことが必要になってきていると思います。今回ハノイの家族を訪問し、お互いが自立し、かつ支え合う家族の姿を見て大いに学ぶことができました。

 

 さらに、羨ましかったのは、夕食は家で食べているのだけど、毎日の食事のうち朝食や昼食を外食する習慣です。家事・育児・介護と仕事との両立とが難しい日本の働く女性のことを考えるとき、ベトナムの外食の習慣は大いに参考になると思いました。

 

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